建築士事務所登録の概要

建築士又は建築士を使用し報酬を得て、建築物の設計や建築物の工事監理を行う場合は「建築士事務所登録」を受けなければなりません。このページでは建築士事務所登録について解説しています。

目次

業務と登録

建築士又はこれらの者を使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て、次の業務を業として行う場合は、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所を定めて登録を受けなければなりません。 【法第 23 条】

○ 建築物の設計
その者の責任において設計図書を作成すること〔法第 2 条第 5 項〕

○ 建築物の工事監理
その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること〔法第 2 条第 6 項〕

○ 建築工事契約に関する事務
工事請負契約の内容を十分に調査・検討する必要があり、それにかかる業務

○ 建築工事の指導監督
工事監理、建設業法上の施工管理又はいわゆる現場監督でなく、建築工事について工事施工者に即した立場でなく、建築主の依頼により第三者的立場から指導監督すること

○ 建築物に関する調査又は鑑定
建築物の構造、高さ、面積等の測定等通常建築士としての知識技能を必要とするような全ての調査又は鑑定をいう。(建築基準法第 12 条の定期報告の調査・検査等がこれにあたる) なお、土地家屋調査士法等の他の法律において特別の資格の登録等が定められている場合を除く。

○ 建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理
建築基準法第 6 条第1項の確認申請等の代理

鹿野行政書士

なるほど、報酬を得て建築物の設計を行うには、建築士事務所登録が必ず必要なんですね。建築士が業務外の副業とかで個人的に設計の仕事を請け負ったりするのもダメなんでしょうか?

尾西行政書士

副業で個人的に請負いする場合も、登録はかならず必要になりますよ。

鹿野行政書士

じゃあ、建設業者が建設工事の仕事を請負して、設計だけ報酬をうけずにサービスでやる場合とかはどうなんでしょうか?

尾西行政書士

建設業の仕事を請負している時点で報酬が発生するので、それも登録しないとダメですね。建築物の設計を請け負う場合は建築士事務所登録は必須だと考えておいてもらったほうがいいです。

尾西行政書士

また、実際に設計する事務所だけではなく、建築工事の契約事務を行う事務所も建築士事務所登録が必要です。

新規の登録

建築士事務所の登録を受けようとする者(以下「登録申請者」)は、次に掲げる事項を記載した登録申請書に必要書類を添付して提出しなければなりません。【法第 23 条&法第 23 条の 2 規則第 19 条&第 20 条】

① 建築士事務所の名称及び所在地
② 一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所の別
③ 登録申請者が個人の場合はその氏名、法人の場合はその名称及び役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者)の氏名
④ 管理建築士の氏名及びその者の一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別、及び登録番号
⑤ 所属建築士の氏名及び一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別、及び登録番号

※監査役は、③の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者)には含まれません。

〔添付書類 第 6 号書式(イ)・(ロ)・(ハ)・その他〕
① 建築士事務所が行った業務の概要を記載した書類
《新規登録では「なし」と記入 ※更新登録では 5 年間の実績概要を記入》
② 登録申請者(法人の場合はその代表者)の略歴を記載した書類
③ 管理建築士の略歴を記載した書類(登録申請者が管理建築士を兼ねる場合は不要)
④ 管理建築士が受講した管理建築士講習の修了証の写し
⑤ 登録申請者(役員を含む)が、法第 23 条の4第 1 項&第 2 項の各号に該当しない旨の誓約書<注参照>
⑥ 登録申請者が法人の場合:定款及び登記事項証明書
⑦ その他建築士事務所登録に際して運用上定めた書類

鹿野行政書士

申請書類が多くて大変そうですね…

尾西行政書士

そうですね、大事な登録になるので必要になる書類も多くなります。

申請を行う際の誓約事項について

申請を行うにあたっては、下記のいずれにも該当していないことが必要です。

(1) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
(2) 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(3) 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられその刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(4) 建築士法第 9 条第1項第 4 号又は第 10 条第1項の規定により一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者
(5) 建築士法第 26 条第 1 項又は第 2 項の規定により建築士事務所について登録を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法
人である場合においては、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内にその法人の役員であった者でその取消しの日から起算して5年を経過しないもの)
(6) 建築士法第 26 条第 2 項の規定により建築士事務所の閉鎖の命令を受け、その閉鎖の期間が経過しない者(当該命令を受けた者が法人である場合においては、当該命令の原因
となった事実があった日以前1年内にその法人の役員であった者でその閉鎖の期間が経過しないもの)
(7) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第 2 条第 6 号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者((9)において「暴力団員等」という。)
(8) 精神の機能の障害により建築士事務所の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
(9) 暴力団員等がその事業活動を支配する者
(10) 建築士事務所について建築士法第 24 条第 1 項及び第 2 項に規定する要件を欠く者
(11) 禁錮以上の刑に処せられた者(3に該当する者を除く。)
(12) 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられた
者(4に該当する者を除く。)

鹿野行政書士

1つでも該当すると登録は難しいのでしょうか?

尾西行政書士

そうですね、1つでも該当すると登録は受けれないので注意しましょう。

管理建築士の設置

建築士事務所の開設者は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括する専任の建築士(管理建築士といいます。)を置かなければなりません。【法第 24 条第 1 項】

管理建築士は、責任の所在を明確にする必要から、一事務所について一人に限られます。一人の建築士が複数の建築士事務所の管理建築士を兼ねることは、いかなる場合も認められません。

また、管理建築士が宅地建物取引主任者や建設業法における専任技術者など他の業務を併せて行っている場合は、実質的に建築士法第 24 条第 3 項に規定された管理が十分に行われるかどうかによって判断されます。

鹿野行政書士

1級建築士事務所登録をする場合は1級建築士、2級建築士事務所登録をする場合は2級建築士が管理建築士になるんですよね。

尾西行政書士

その通りです。ちなみに1級建築士は2級建築士事務所登録の管理建築士になることも可能です。その場合は1級建築士が管理建築士でも請け負いができる仕事の範囲は2級建築士の設計できる規模と構造なります。

鹿野行政書士

営業所から遠方にすんでいる方でも管理建築士にはなれるんですか?

尾西行政書士

管理建築士は専任性が求めらるので、その営業所に通勤している必要があります。ですので通勤の事実があれば遠方の方でも管理建築士にはなれますよ。ちなみに遠方に住んでいる方を管理建築士とする場合は出勤証明(定期券の写し等)を求められるようです。

管理建築士の要件

管理建築士は、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習の課程を修了した建築士でなければなりません。 【法第 24 条第 2 項】

・管理建築士の職務
管理建築士は、その建築士事務所の業務に係る次に掲げる技術的事項を総括しなければなりません。

○ 受託可能は業務の量及び難易並びに業務の内容に応じて必要となる期間の設定
○ 受託しようとする業務を担当させる建築士その他の技術者の選定及び配置
○ 他の建築士事務所との提携及び提携先に行わせる業務の範囲の案の作成
○ 所属建築士その他の技術者の監督及びその業務遂行の適正の確保

・管理建築士の意見

管理建築士は、その者と建築士事務所の開設者とが異なる場合においては、建築士事務所の開設者に対し、上記ハ)に掲げる技術的事項に関し、その建築士事務所の業務が円滑かつ適切に行われるよう必要な意見を述べるものとし、開設者は前号の規定による管理建築士の意見を尊重しなければなりません。
【法第 24 条第 4 項 5 項(H26 年法改正で新設)】

鹿野行政書士

管理建築士は建築士の資格をもっているだけではなく、「管理建築士講習」を修了した方でないとダメなんですね。

尾西行政書士

そうです。なお建築士の「管理建築士講習」は建築士に受講が義務化されている「定期講習」とは別のものですので気をつけましょう。

登録事項の変更

登録事項の変更(所属建築士の変更以外)
建築士事務所の開設者は、次の事項について変更があった場合は、2週間以内に変更届を提出しなければなりません。 【法第 23 条の 5】

○ 建築士事務所の名称、所在地、電話番号
○ 開設者が個人である場合:その性・名、(※個人の開設者の変更はできません。)
○ 開設者が法人である場合:その名称、所在地、役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者)の氏名
○ 管理建築士の氏名、一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別、及び登録番号

所属建築士の変更
建築士事務所の開設者は、建築士事務所に所属する建築士に変更があった場合は、3カ月以内に変更届を提出しなければなりません。【法第 23 条の 5 第 2 項】

○ 建築士の氏名及び一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別、及び登録番号など
〔例〕
・ 入社・異動(配属・転属)・退社等
・資格の変更が生じた場合 (二級建築士 ⇒ 一級建築士へ等)
・ 建築士免許証の姓や名を変更した場合
・ 設計・工事監理等の業務を行わなくなった場合

鹿野行政書士

事務所や管理建築士などに変更があった場合は変更届を提出しないといけないんですね。

尾西行政書士

そうです。また事業年度が終わるごとに3ヶ月以内に「設計等の業務に関する報告書」の提出が必要になるので忘れないようにしましょう。

登録の更新

建築士事務所としての登録の有効期間は、5年間です。
引き続き建築士事務所として業務を行なう場合は、有効期間満了の日前 30 日までに更新申請をしなければなりません。なお、登録申請書及び添付書類は、「新規登録」と同じです。【法第 23 条&第 23 条の 2 規則第 19 条&第 20 条 第 5 号&第 6 号書式】

鹿野行政書士

5年毎に更新の申請が必要になるのですね。

尾西行政書士

そうです、更新申請を忘れてしまうと登録が抹消されてしまいますので気をつけましょう。

廃業等の届出

次のいずれかに該当することとなったときは、当該事項に定める者は、その日(②の場合はその事実を知った日)から 30 日以内に廃業等の届出しなければなりません。【法第 23 条の7】

① 建築士事務所の廃止 ・・・ 開設者であった者
② 開設者の死亡 ・・・ その相続人
③ 破産手続開始の決定 ・・・ その破産管財人
④ 法人が合併による解散 ・・・ その法人を代表する役員であった者
⑤ 法人が破産手続開始の決定又は合併以外の事由による解散 ・・・ その精算人

鹿野行政書士

管理建築士が退職してしまう場合も廃業しないといけないんでしょうか?

尾西行政書士

代わりに管理建築士になれる建築士の方がいれば登録の継続は可能ですよ。

鹿野行政書士

なるほど、建築士事務所登録についてよくわかりました。

尾西行政書士

当事務所では建築士事務所登録に関するご相談を承っております。お困りの際は当事務所までお問合せください。

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